伊藤圭吾事務局長からの御挨拶
東海脊椎脊髄病研究会の事務局長就任のご挨拶
東海脊椎脊髄病研究会は,1971年(昭和46年)開催の東海脊椎外科懇話会(世話人:室捷之先生,参加20名)が前身で,1988年(昭和63年)に東海脊椎外科研究会,2007年(平成19年)に現在の名称に変更になりました.1976年(昭和51年)から年2回の開催(参加60名超)となり,現在も学術集会は夏(6月第1 or 2週)と冬(11月最終週 or 12月第1週)の年2回開催(会場:大正製薬株式会社名古屋支店)されております.2021.6月現在の会員数は228名となっております.
雑誌『東海脊椎外科』は1987年(昭和62年)3月に創刊(第1巻)されました.また,2010年(平成22年)から発行のJSR(Journal of Spine Research)に8団体のうちの一つとして参加し,歴史に加えて格式も高い研究会でもあります.
現在,事務局は中部労災病院整形外科内にあります.元々は岐阜県立多治見病院整形外科内にあり,室捷之先生,2000年(平成12年)4月から伊藤茂彦先生が事務局長を務めておられました.2015年(平成27年)4月からは,中部労災病院の方へ事務局が移管され加藤文彦先生が事務局長を務められておりました.そして,2020年(令和2年)4月から私にバトンが渡され後を継いだ次第です.重要な仕事に携わせて頂き身の引き締まる思いです.なにかと不手際等多く,ご迷惑をおかけすることもあるかも知れませんが,寛大な措置を承りますよう,お願い申し上げます.
事務局長としての最初の学術集会開催運営は,コロナ禍のため会場使用不可となり,世間の状況も鑑みて,夏の大会である第93回学術集会の冬への開催延期の決定でした.次の冬の開催では密でなく,換気もでき,色々な式典を行っているために音響設備も整っている中部労災看護専門学校体育館を会場として使用させて頂くことで,なんとか現地開催とさせていただきました.寒いと評判がよかった?ですが,何よりも無事に開催されて胸を撫で下しております.次の夏の大会である第94回学術集会は,暑さ対策に体育館に空調設備もレンタルして現地開催の準備をしておりました.しかし,愛知県内にて緊急事態宣言(+百貨店,大型商業施設での営業自粛要請)を受け,急遽Web開催へ変更させていただきました.初のWeb開催学術集会参加者は115名と多数の会員の皆様に参加していただけ,こちらも無事に開催されて胸を撫で下しております.
さて,今回のコロナ禍に対しては,マイナスの側面だけでなくプラスの側面もあったと感じております.医療は日進月歩で,手術手技も様々に発展してまいりました.新しい技術を取り入れるにあたり,私自身が大切にしているものは不易流行という考え方です.松尾芭蕉の俳諧理念によるもので,意味は不変で本質的なもののなかにも,新しい変化を取り入れることです.昔ながらの伝統に固執して,変化を毛嫌いしていては今以上の発展は望めません.しかし,新しいものばかりを追い求めていては,一過性の不安定なものしか生み出すことが出来ません.より良い進歩を目指すには,古くからあるものと新しいものの両方を取り入れ,バランスを適切に保つことが大切だと常々思っておりました.今回のコロナ禍はIT化への激しい変化をもたらしたのだと思います.Web開催もすっかり定着してきました.そのようなIT化の流れから,当研究会も遅ればせながらホームページを作成していく流れにもなりました.この作成には藤田医科大学医学部脊椎・脊髄科教授の金子慎二郎先生が中心となって進めていただくこととなりました.よろしくお願い致します.
最後に,医学に関する新しい情報は世界中から絶えず発信され続けています.教科書の内容でさえ変更されることがあります.医師は生涯学び続けなければならない職業です.また受動的役割ばかりでなく,能動的役割として医学の発展のために,臨床で得られた知見を発信していくという事も大切だと思っております.学会・研究会・論文発表などを通して情報発信していくことも医師に求められる大切な仕事です.当研究会は学会ではなく研究会であります.学会とはある学術分野において特化し,学問の発展を願うための団体を指しますが,研究会とはある分野において研究を目的とした小規模な団体を指すようです.研究会と学会では,質で判断する事は出来ず,研究会は理念がより一定であり,気持ちが揃っているために目的を達成しやすい少人数精鋭的な面もみられるようです.当研究会設立の目的は,東海地区の脊椎・脊髄病に関心を抱く医療従事者の集まり(小規な団体)であり,脊椎・脊髄病の研鑽に努め,会員相互の親睦をはかることであります.実際,参加者は地元の先生ばかりで,休憩時間などに至る所で会員相互の会話が弾んでおり,親睦を深めあっております.整形外科専攻を始めたばかりの先生方におかれましても,緊張せずに参加しやすく,最初の発表の場としても使用していただけたらと思います.また,会の頭文字は東海で,学会でなく研究会ですが,JSRとつながるAll Japanな研究会であり,年配の先生方の発表の場としても相応しい場となっております.数多くの発表,論文投稿を賜りますようお願い申し上げます.不易流行.新しいご意見,ご要望ありましたら遠慮なくおっしゃって下さい.より良い研究会になっていけるよう微力ながら邁進致します.これにて新任の挨拶とさせていただきます.